1996 雲南省・大理

  一年前のタイ北部山岳少数民族の美少女に味をしめた浅井は、 少数民族の宝庫といわれる中国雲南省を目指した。 また、雲南には日本人旅行者にとびきり評判のいい大理という町がある。 長く苦しい中国の旅をした旅行者がここまでたどり着いてほっと一息するという。 そんな町と旅行者を飛行機を乗り継いで超特急で覗いてきた。 久しぶりの一人旅になる。ドミトリーというものも初体験だった。

旅程

 サラリーマンバックパッカーとしては、大まかな旅程は描いているが、実際にバスが取れるか、移動がスムーズに行くかは行き当たりばったり。以下の旅程表は結果論を記載している。当初は、あわよくば麗江まで行けないか、とか思っていた。

1996年日程宿泊地
26APRNRT 1000 ✈ SHA 1200 JL791
上海観光
上海泊
(浦江飯店のドミトリー)
27APRSHA 0750 ✈ KMG 1040 SF451
夜行バス:大理へ
車中泊
28APR下関でいろいろ大理泊
(紅山茶賓館のドミトリー)
29APR沙坪の月曜バザール
大理観光
大理泊
30APR蝴蝶泉大理泊
01MAY大理観光(レンタサイクル)
夜行バス:昆明へ
車中泊
02MAY昆明市内観光昆明泊
(茶花賓館のドミトリー)
03MAY石林観光昆明泊
04MAYKMG 1140 ✈ SHA 1420 SF452上海泊
05MAYSHA 1025 ✈ NRT 1415  UA852 ”C-class”
成田帰国

day1. 上海

 上海空港に降り立つも、空港内のどこの銀行も昼休みで両替ができない。1時過ぎまで待ち、ようやく両替を済ませたら、空港バス(4元)で市内に出る。少し遠いCAACオフィス前に到着したので、外灘まで市バス(5角)で移動。

 川沿いは、カップルばっかりで、気合をいれてポーズを決めて写真を撮っている。上海では唯一になってしまったドミトリーのある宿、浦江飯店でドミのベッドを確保。ここのドミは男女別室。イギリス統治時代に作られた立派な建物でとてもきれい。一泊55元で、合鍵のデポジット50元を預ける。

 同室の日本人の桑崎さんと、夕飯を食べに行く。安い飯屋を教えてもらう。メシ代6元、ビールは2.6元x2。

day2. 昆明へ

 タクシーで空港に向かい、国内線で昆明へ。中国の国内線は乗り方が難しい。昆明空港から市内は2元の空港バスがある。以外に大きい近代的な都市だった。日本と大きく異なるのは自転車用の車線がしっかり確保され、交差点には自転車の交通整理をする女性が4人、車の交通整理をする警官が3人立っている。

 茶花賓館まで移動し、今夜の大理行きの夜行バス(95元)を手配する。市の中心に移動して、ぶらぶら。昼飯を食べる、7.5元。

 紅山茶賓館で待っていると、19:15に迎えが来て、19:30にはバスに乗車。中国の寝台バスは、全部、平らなベッドになっているやつ。一つのベッドに2人ずつ。バスは21時に昆明を出発した。バックパックを枕にして寝ていたのだが、カメラを盗まれた。途中の休憩所からとなりに寝ているやつがいなくなって快適だと思っていた。

day3. 大理

 昆明から寝台夜行バスで12時間ほどたった10時30に下関に到着。カメラがなくなったので、下関の公安に行くと、言葉が通じず、どうせ旅行者は大理にいくのだろうから、そっちでやってもらえ。

 下関からさらに 4番のバスで30分(1.2元)。 日本人旅行者に絶大なる人気を誇る街「大理」。 そこは、安宿とうまい飯屋があり、外国人が集まってくる 期待通りのただの「沈没地」であった。

 紅山茶賓館の1階のドミトリーが1泊10元。1週間契約だと 6元になるという。ドミトリーにはここからチベットまで抜ける情報を集めている人や、 ミャンマーへ入る人、ベトナムから上がってきた人など、 さまざまなアジアの旅人を見ることができた。だいたい、日本人は日本人部屋に集められているようである。男女同室。ここでは上海在住の留学生の真鍋さん、バンコク在住のカメラマンの油井さんと同室する。

 軽く昼食(焼きそば等、13元)をとった。

 カメラがないのでは旅行にならないので、さっき通ってきた比較的大きな街であろう下関にバスで戻る。百貨店のようなところでカメラが買いたいが、日本のクレカは使えず、街で外貨両替できるところも見つからなかったので断念。大理に戻ってきて、おもちゃみたいな286元のカメラを購入(本当に写るのか?これ)。というわけで、ココまでは写真がない。

 夕食はハッピーカフェのヒレカツ定食が8.5元、ビールが4元x2。 

day4. 沙坪の月曜バザール

 大理からバスで1時間。小高い丘の上で 毎週月曜日に開かれる沙坪のぺー族の市場。大きな市場ではあるが、一回り30分くらい。小さな丘の中腹で開かれている。

 市場には野菜や、たった今肉になったばかりの豚、 紐でつながれ涙を浮かべながら悲鳴をあげている豚。 ぺー族の民族衣装に用いられるカラフルな糸や布地などが売買されている。 市場にはカラフルな民族衣装を着たぺー族の人々でにぎわっている。市場の屋台で食べた「うどん」は1.6元。少々僕の口には合わなかった、漢民族の中華料理とは違う文化圏の食べ物。

 市場を離れると、石造りの細い路地が入り組む沙坪の町に入ることができる。駄菓子屋で何やら買い物をする子どもたち、路地の真ん中の井戸で水を汲む村人の姿があった。

 大変乾燥していて、道端ではサボテンが花をさかせていた。

葬式行列

 たまたま沙坪の町で葬式行列に出会った。激しく爆竹を鳴らし、派手にゆっくりと 歩いて行く。行列の最後には「泣き女」が付き添いに支えられながら 泣き歩いていた。迫真の泣きっぷりである。

大理の公安にて

 大理の公安にはとてもかわいい英語の上手な女の子がいて、トラブルに巻き込まれた外国人の相手をしてくれる。正式には公安の職員でないのか、いつもかわいい私服姿。年の頃17,8才。

 昆明から下関の夜行バスの中でカメラを盗まれてしまった件、盗難証明書をもらいに大理の公安にいった。やっぱり言葉が通じず、ちょっと待ってろ、と言われて上述の女の子が現れたという訳。はっきりと気品の格が違う上流階級の女の子だと感じる、流暢な英語で調書を撮ってくれた。明日の朝10時に証明書ができる。カメラは後日、クレカ付帯の海外旅行保険で補償された。

大理北門と、三塔寺

 大理北門は1元で登ることができる。そこから大理の街並みを一望することができる。湖と4000m級の山々に囲まれた美しい街だ。

 三塔寺は、おそらく、大理の唯一の観光資源ではなかろうか。それほど大理は 退屈で居心地のいい地である。三塔はいつ建てられたのかは不明だと いう。三塔を池に映して見る大理三塔倒影公園は入場料1元。 あの山の向こうはチベットに続いてるだなぁと思うと、遠くまで きたもんだと感じることができる。

day 5. 蝴蝶泉

 ナシ族の少女たち。本来は大理より奥の麗江の方に住んでいる民族である。 おそらく観光客目当てに蝴蝶泉まで出張して来ているのだと思われる。かわいい少女達が輪になって歌い、踊っており、中央で少年が笛を吹いていた。5元払って、踊りの輪の中に混ぜてもらう。少女達は丁寧にステップを 教えてくれた。何曲か踊ったが驚くことにその中には5拍子の踊りが ある。

 蝴蝶泉という観光公園 では、観光客に民族衣装をレンタルする商売をやっていた。 近くに座っていた美しい娘さんにお願いをして一緒に写真を 撮らせてもらったが、彼女らがぺー族なのか、衣装を着た 観光客なのかは不明。

 このあたりでは少数民族の 人々も若い年代は民族衣装をほとんど着ていない。町を歩いていても たまに一人二人見かける程度である。

 中央は、大理のドミで知り合った日本人サラリーマンの中田さん。彼も 短期GW脱出組みだという。この日の夕食は宿で集まった日本人みんなで食べに行った(ベテランの先輩旅人の引率なので、割り勘で一人10元)。

day 6. 大理での最終日

 未明からお腹を激しく壊した。この日は絶食で、3食コーラ。世界中だいたいどこにでもあり、衛生的で、栄養価も高い。命の水。

 明日、5月2日から、大理では三月祭という1年に一度の大きな お祭りが行われる。祭りに向けてだんだん町がにぎやかに 活気を帯びてくるのがわかる。写真は前日のリハーサルの もの。広大な三月祭会場で遊戯の練習をしていた。どうやら 少年少女のこの出し物は大理市教育委員会が指導していて、まるで日本の運動会のようである。

 それとは別に会場周辺では屋台や出店が立ち並び、 盛り上がっている。

 私はスケジュールの都合で今夜、昆明に出発する。あとで聞いた話によると、祭りの初日は 雨に降られてしまったらしい。

 18時半に集合してバスターミナルへ、19時半にバスは出発した。

day 7. 昆明で沈没

 朝、7時半に昆明のバスターミナルに到着した。茶花賓館のドミトリーのベッドを一泊30元で確保。お腹はだいぶ良くなり、昼からビールが入るようになってきた。明日、石林を見に行くことにした。

day 8. 石林

 昆明から40元の石林ツアーバスに乗って石林観光をした。ツアーバスといっても、往復のバスが手配されるだけ。 石林の入場料は33元。サニ族の人にチップを払えば、裏から無料で入れるらしいので探したのだが見つからなかった。石の柱や壁がにょきにょきと地面から生えている、文字どおり 石の林である。一周歩くと3,4時間を要する。

 石林の入り口のゲートの近くには、サニ族のガイドの娘さん がたくさん座っていた。多くの団体観光客がガイドを雇っていたが ガイド料がいくらなのかは不明。一緒に歩いてくれるのだから、個人で雇ってもよかったかもしれない。

 夜、大理でご一緒した中田さんと再開したのでBarで軽く飲み。

day 9-10. 上海経由で帰国

 エアポートバスで昆明空港に行き、上海までひとっ飛び。行きにも泊まった浦江飯店のドミトリーにきた。さすがに、9日前とは面子は入れ替わっていた。

 上海はやっぱ都会で、外灘ではウェディングやってた。夕食は上海の目抜き通りである南京路の方まで繰り出してみた。歩行者天国をやっていて、マクドナルドもある。物価も高い。銀座だね。

計画と費用

 中国元のレートは1USD=8.33元。1USDはだいたい105円だったので、1元=12.6円だったことになる。

 バックパッカー的一人旅なので、航空券のみ手配してあとは現地。中国国内線まで手配したので、まあ、緩いほうと言えよう。

 現地費用は約1万円(お土産代などは別)、と破格の値段に落ち着いた。ドミトリーと日本人宿の旅仲間たちとの親睦によって、当時の本気のバックパッカープライスになったに違いない。

1. 航空券 176,800円+190元=179,194円

 有楽町のJAL PLAZAで予約、発券。ド・ノーマルの正規料金、おまけに、復路の上海→成田はビジネスクラス。

NRT/xSHA/KMG/xSHA/NRT [Y2/Y/Y/CR] JPY176,800

 ゴールデンウィークということもあって、格安航空券もそれほど安くなく、中国国内線を繋いで、ということだったらいっそのこと無敵の正規料金で。どうせビジネスに乗るんなら、マイルとかに目がくらまないで、日系航空会社のビジネスクラスにすればよかった。正規料金だから航空会社はどこでも選べる。

 他に中国の空港では国内線で50元x2、国際線で90元のPSCがかかった。

 中国VISAは中国大使館で直接取得、費用は記錄なし。3,000円くらいじゃなかっただろうか(曖昧な記憶)。

2.宿泊費 200元 = 2,521円

上海(4/26、5/4)浦江飯店 ドミトリー 1泊55元 x 2 = 110元
大理(4/28-30)紅山茶賓館 ドミトリー 1泊10元x3 = 30元
昆明(5/2-3)茶花賓館 ドミトリー 1泊30元x2 = 60元
合計 200元

3.国内交通費と観光 358.9元 = 4,522円

4/26 上海空港→市内上海空港からの空港バス 4元
市内バス 0.5元
4/27 市内→上海空港タクシー 56元
4/27-28 昆明→大理昆明空港からの空港バス 2元
昆明→下関の夜行バス 95元
下関→大理のバス 1.2元

買い物のため下関往復
 ミニバス1.5元、市バス1.2元 
4/29 沙坪沙坪往復ツアー 12元
4/29 大理大理三塔寺倒影公園 入場料 1元
大理北門 入場料 1元
4/30 蝴蝶泉大理からバス 4元x往復 = 8元
入場料 6元
ナシ族の踊りの仲間に入れてもらう 5元
5/1 大理→昆明レンタル自転車 10元
大理→昆明の夜行バス 70元
5/2 昆明市内市バス x2 1元
5/3 石林ツアーバス 40元
入場料 33元
5/4 昆明→上海昆明空港への空港バス 2元
上海空港からの空港バス 4元
市内バス 0.5元
5/5 上海市内→空港タクシー  60元
合計 358.9元

4. 食費 234.8元 = 2,960円

 帰路の上海での食事の記錄が失われていたが、8日分の食費の合計は234.8元だった。そのうち1日は腹壊しのため絶食、3食コーラの日を含んでいる。

 ビールは安い。大理ビールという地ビール?があり、HappyCafeで飲んでも4元、売店で買うと2.8元と大変お世話になった。大理には旅行者に人気のHappy Cafeという日本食レストランがあり、ヒレカツ定食、カツ丼定食が共に8.5元。豚肉が美味しい。何度か利用した。